薬膳はもとより、栄養学やライフサイエンスをエビデンスとした「食べ方の勉強」は
全般的に好きです。
免疫学や腸内細菌に関する本もいくつか読みましたがすごく面白い!
タイトルの「ハイジの皿」についてなんですけど、
『土と内臓 微生物がつくる世界』という本に出てくる見出しのひとつなんです。
さらに詳しく書くなら「がん予防の食事ーハイジの皿」。
「土と内臓」はデイビッド・モンゴメリー&アン・ビクレーご夫妻が書いた本なんですが、
この本の中で、奥さんのアンが子宮頸がんを患い、手術をする話が出てくるんです。
子宮頸がんは全世界で女性のがん死の原因第4位だそうで、
(アメリカでは検診の普及と積極的な治療で第14位に落ちているようですが)
日本でも近年、検診の普及にはとても力が入っているように思います。
そして子宮頸がんに大きく関わると言われてるのがHPV(ヒトパピローマウィルス)。
このウイルスに、女性の80%が、生涯のある時点で感染すると言われています。
感染してもその多くは自然に消失する、つまり
たいていの人はこのウイルスを追い出してしまうのだ、と言われるので
HPVに感染したからといって、必ず子宮頸がんになるわけではありません。
アンは子宮頸がんの手術をして腫瘍を切除します。その後出会ったのが、
自然療法医のハイジでした。
ハイジは自然療法医。
「何を食べているか」「ストレスレベルはどれくらいか」「どのような運動をしているのか」
主にこの3つのテーマで徹底的に話をしてくれた、のだそうです。
そして、食事で気をつけるべきことをレクチャーされるんです。
お皿の半分を、植物性の食品で埋めること。もう半分はさらに枝分かれして、一番小さな区画に精白されていない全粒の穀物、残った部分には豆類などの植物性のタンパク質。
文章だとわかりにくいですね。
私がとったノートを簡単なイラストにしてみました。
自然療法医ハイジのアドバイス(p146 「がん予防の食事」より)
- 野菜と果物…特にアブラナ科の野菜(ex.ケール、チンゲン菜、ブロッコリーなど)。葉物野菜はミネラルとフィトケミカルがたっぷり。
- たんぱく質はなるべく植物性。動物性もいいが、摂りすぎないようにする。
- スコーン・コーヒー・ワインは毎日は摂らない。(コーヒーは自然な食欲を妨げる)
- 毎日3食きちんと食べること。(決まった時間に食事をする)
アンは朝食にスコーンとコーヒーを取るのが精一杯だったのですが、毎日はだめだとハイジに言われます。
この話の舞台はシアトル。
「どうやって、コーヒーやラテ、スコーンを食べずに過ごせるのか」と反発もするんですけど、次第に、家族みんなで食習慣を変えていくんです。
ちゃんと朝食を食べる時間をつくるために早起きをする。
午後の砂糖爆弾(:シュガーボム。カロリーばかり高くて栄養価の低い食品)、個人経営のパン屋通い、ラテ、ワインを控える・・・
アンは、子宮頸がんにかかったとき”自分の免疫系が働かなかった”のだ、と考えて、
免疫系を維持する食習慣を心がけていきます。
それが「ハイジの皿」だった、というわけです。
この本、すごく長くてそのほとんどが地質学、園芸学、消化器病学、微生物学…などの専門的な話を含むのですが、第7章「ヒトの大腸ー微生物と免疫系の中心地」はそこだけ読んでもすごく勉強になるくらい、心に残る本でした。
お皿の半分に野菜と果物(もちろん旬のものが最高)、良質のたんぱく質(お豆や卵、肉、魚など)と、できれば精白されていない穀物を少し。
プラス発酵食品も。
この本を読んで以来私はいつも、頭のすみに
この「ハイジの皿」をイメージするようになりました。
食べ方の勉強って、本当に興味深くて楽しいです。
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